舛添さんの「五輪通訳はボランティアで」発言に違和感を持ったので調べてみた:通訳案内士と善意通訳(グッドウィルガイド)

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舛添さんが都知事に決まりました。
で早速、「五輪の通訳はボランティアで」と言ったらしいのですが、
これに対する反発の声をTwitter上で見かけました。

私も大いに違和感を感じていて、
通訳ってのは「英語話せます」レベルの遥か上にある技能だと思うし、
通訳ミスは国際問題を引き起こす可能性もあるくらい、責任の重い仕事で、
とても「ただでやってくれるよね!」で済むものではないと思うのです。

同日、森元首相が、東京五輪・パラリンピック組織委員会の長が英語できないってどうよ、
という外国人記者からの質問に、英語は敵国語だったからしょうがない、
という開き直ったというか場違いな発言をしていました。
この、森さんがそういうことを言うならわかります。
ですが、舛添さんは六ヶ国語を操るというほど語学堪能な人です。
その人が、通訳の大変さや責任を理解しない発言をするとは到底思えなかったのです。
なんなんでしょう、これは。

というわけで、何か自分の知らないことがあると思い、色々と調べてみました。

それで、恥ずかしながら初めて知ったのが、通訳案内士という資格でした。
http://www.jnto.go.jp/jpn/interpreter_guide_exams/

通訳案内士法の規定により、報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする業を営もうとする者は、通訳案内士試験に合格し、都道府県知事の登録を受ける必要があります。

なんと、そんな法律があったんですか。

2013年4月1日現在の登録者数は16,779人に達しています。通訳案内士試験の外国語の種類は、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ 語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語及びタイ語となっています。通訳案内士試験は、年齢、性別、学歴、国籍などに関係なく受験が可能 です。2012年度通訳案内士試験には、713人が合格しました。

通訳案内士(通訳ガイド)は、単に語学力が優秀であるだけでなく、日本の地理、日本の歴史、さらに産業、経済、政治および文化といった分野に至 る幅広い知識、教養を持って日本を紹介するという重要な役割を負っています。 外国人旅行者に日本の良い印象を持って帰ってもらうことは、正しい日本理解の第一歩となり、通訳案内士(通訳ガイド)の仕事は、“民間外交官”とも言える 国際親善の一翼を担うやりがいのある仕事です。

なるほど。ある意味日本の顔になる人なので、そういう制度があるというのは、まあ納得です。

ただ、全国で16,779人というのはそんなに多い数じゃないですね。
2020年には、外国人観光客で都内に人があふれるわけで、
五輪会場だけでなく、街に出れば「英語のメニューはないのか」と飲食店で騒ぎになり、
スカイツリーの周りには「人が多すぎてそもそも近づけないんだがどうやったら登れるんだ」
と、混乱が生じるのは必至でしょう。
誰がそれに対応するんだ、と。

で、もう一つキーワードを見つけました。
http://www.jnto.go.jp/jpn/services/hospitality_for_foreigners/goodwill_guides.html

善意通訳(グッドウィルガイド)という活動です。
登録するとバッジやカードがもらえるらしい。

とにかくここでわかったのが、通訳案内士の資格を持っている人以外、
外国人観光客相手に案内をして報酬を受け取ってはいけない、ということです。

これを踏まえると、誰が都知事になろうと、ボランティアの通訳(善意通訳)に頼るのは既定路線と言えるでしょう。

例えば、通訳案内士補佐とかいう、
「英検2級を持っていれば申し込みだけで取得できます」みたいな資格を作って、
「通訳案内士の資格を持つものの管理下で案内業務ができる」
という法律を作ることは可能でしょうが、
まあ、そんな資格を作って、五輪後も運営にコストをかけるというのは現実的ではないと思います。

実際、ボランティアを募集すれば、人は集まるはずです。
例えば高校として生徒に参加を促すなんてところも出てくるでしょう。
「本校は実践的な英語教育に力を入れており、2020年東京五輪・パラリンピックにおいては、生徒数800名のうち半数を超える410名が五輪通訳サポートとして活躍しました」
などと言う実績は、受験を考える中学生にもアピールになることと思いますし。

舛添さんはきっとこういうことを踏まえた上で言っているのでしょう。いや、そうに違いない。

まさか通訳案内士をただ働きさせるようなことなんてあるはずがない。

「通訳案内士が足りません。2020年までに是非資格を取得しましょう」
と、きっと呼びかけるのでしょう。
多くのボランティア通訳を統括するためにも、
善意通訳のスタッフでは対処できないトラブルに対処するためにも、
観客ではなく選手の通訳をするためにも、
相応の対価を払ってスタッフとして雇うのでしょう。いや、絶対そうするはずだ。

通訳案内士の地位と知名度の向上と、
直接的な意味での「五輪特需の恩恵」を彼らが受ける。

そうなることを個人的には期待してしまうのですが、どうなるんでしょうね。

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