「みんなの家計簿を分析したら、きのこの山よりたけのこの里のほうが売れてることがわかったよ」って大胆だね


「きのこの山」VS.「たけのこの里」戦争に決着!? 購買データ分析で“大差”あり

3週間ほど前の記事です。見出しだけ見てスルーしていたのですが、内容を聞いて驚きました。
これを読んだ人達はどう感じていたのでしょうか?
きのこ派かたけのこ派かということではなくて、個人情報の扱いについてです。

リンク先の記事の説明

ReceRecoというiPhoneやiPadで使える家計簿アプリのデータを分析した結果です。

レシートをカメラで撮影するだけで文字を認識してデータを登録するので、自分で入力する手間が省けて便利なんだとか。
もちろん、自分で入力することもできますが、文字認識の精度が高さが実用に耐える性能で、人気もあります。
しかも無料です。

そのデータは運営会社のサーバに保存されています。
今回の分析というのはその、利用者の家計簿を分析した結果です。

利用者へのアナウンスはされている

データの利用については、サービス開始時に以下のようにアナウンスされます。

ReceReco初回利用時のアナウンス画面

ReceReco初回利用時のアナウンス画面

これは、サービス開始時に表示されます。

「実は利用規約に書いてあった」というだけのものと違って、
ユーザに見えやすいように明言されているのです。
なので、利用者からすれば「勝手に使われていた」というものではないのです。

ただ、私が「どうなのかな」、と思ったのは、このアナウンスを読んで、

「どういう人がきのこの山を買って、どういう人が買わなかったのか」
ということを利用者横断的に集計する、

と、このような使い方をされると、利用者がどれくらい想像できているのだろうか?
ということです。

つまりどういうことか

家計簿ですから、お金の収支に関わることを全て入力するのが本来の使い方でしょう。

飲み会に使ったお金、
コンビニで買ったお菓子代、
月収やボーナスの金額、
歯の審美治療に使ったお金、
子供の塾の費用、
友達に貸したお金、
など。

こういうものを、「匿名で」という条件で、集計・分析する許諾を与えたということになるのです。

どんな分析が可能か?

今回公開された分析結果は、「きのこ VS たけのこ」という軽い話題ですが、
たとえば、
「食生活と生活習慣病の関係」
なども分析できるでしょう。

医療費だって入力するでしょうから。

適切に使えば宝の山なのは間違いありません。

感じ方は色々あるはず

  • 匿名で使われる分には抵抗はない
  • 「データを利用する」と聞いてもそこまで想像していなかった。そう聞いたら使いたくなくなった。
  • 上場している会社だから信用する
  • 使うことよって得られる利益と、「自分の個人情報の価値」を比較して、使うか考える
  • 自分は使わないけれど、アナウンスは十分なので、使っている人は理解していると思う
  • 自分の子供には使わせたくない
  • そもそもデータの分析って言われてもどんな作業をしているのか全くイメージできない

など。

私の感覚

Tカードのデータも分析に使われていますが、これは、
「お店をやっている人が、どんなお客さんが多いか集計した」
ということの延長に思えます。
まあ、ありかな、と。

ただ、家計簿を「匿名なら使ってもいいよ」と手渡すことにはちょっと抵抗があります。

私の想像では、利用者が、
「はい。うちの家計簿。分析に使っていいよ。でも表紙の名前は見ないでね」
と言って、家庭の収支が書かれた紙の家計簿を業者に渡すのと同じことだと認識していないのではないかと思っています。

炎上の兆しは見えない

実はこの記事、「連載・データサイエンティストの視点」というシリーズの2番目で、
昨日第3回の

“焼きそば三国志”を制したのは? データで決戦「U.F.O.」VS.「ぺヤング」VS.「一平ちゃん」

も公開されています。

ただ、Twitterなどを見ても、
「やだ、そんな風に家計簿を分析されるなんて気持ち悪い!」
みたいなコメントは全く見当たらないんですよね。
「許諾を取っているとはいえ、家計簿のデータなんて本当に使っていいの?」と思ってしまう私は気にし過ぎなのでしょうか。

やっぱり、
「利用規約に書いてあるでしょ?」
で済まさずに、
ちゃんとデータを利用する旨を伝えているところがいいのでしょうか。

もう一つは、これがあくまで家計簿のアプリであって、
SUICAみたいな「使わざるを得ない」レベルのサービスと違って、
使いたい人だけ使えばいい、というところがはっきりしているからかもしれません。

後は、分析結果として公開しているテーマが、
「きのこの里 VS. たけのこの里」
だったり、
「焼きそば」
だったり、軽いものだということもあるのだろうと思っています。

このテーマの選び方は絶妙で、
一般の人からすれば題材の軽さから「面白いね」で通りすぎるところ、
企業側でマーケティングをしようとしている人からすれば、
「こんなにセンシティブで集めづらい情報を抱えているなんてすごい!」
と、大変な魅力を感じさせるバランスになっています。

この先、
連載でセンシティブな品目の分析に手を出したり、
第三者にデータを販売したりして、
ネット上で炎上することがないか、気になってしまいます。

まあ、第三者に販売する際は、
SUICAの二の舞にならないようにどれだけしっかり匿名化するかがカギになるのでしょうね。